研究概要 |
ZFAT(18個のC_2H_2型zinc-finger motifと1個のAT-hook motifを含む)は魚類からヒトに至るまで高度に保存された遺伝子であり,自己免疫性甲状腺疾愚(AITD)の感受性に関与する遺伝子として同定されたものであり,ZFATは,その構造から転写因子と考えられる。本研究は,培養細胞レベルおよび正常マウス、遺伝子改変マウス由来の免疫担当細胞レベルにおいて,ZFATにより発現制御される遺伝子群を同定し,さらに,ZFATが結合するDNA領域をゲノム上より同定することにより,ZFAT-ネットワークを解明することを目的とする。本年度は以下のような研究成果を得た。 (1)ZFATタンパクはマウス組織においては,胸腺,脾臓,リンパ節の免疫組織において特異的に発現し(骨髄に発現は認められない),その発現はmRNAのパターンとは異なり,主にB,T細胞に観察され,単球系にはほとんど認められないこと,胸腺ではDP-T細胞以降の分化段階で強発現することを,樹立したポリクローナル抗体で明らかにした。 (2)ZFATトランスジェニックマウス個体由来の免疫担当細胞を対象とした発現アレイ解析を行い,発現変動遺伝子群を対象にしたパスウェイ解析を実施した結果,ZFATは免疫系においてはTCR,BCR,サイトカインシグナリング等に関連する分子の発現変動を誘導すること,および,DNA複製、DNA修復、細胞周期に関連する遺伝子群の発現を変化させることが示唆された。 (3)樹立した抗モノクロナールZFAT抗体について,ChlP法でのクロマチン変性処理後の抗原認識能についてIP-western法で評価し,最も好成績を収めた抗体を使用して,ChIP-chip解析を開始した。また,より効率的にChIPできる抗体取得のために新たに抗ZFAT抗体の作成を開始した。
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