ZFAT遺伝子は18個のC2H2型zinc-finger motifと1個のAT-hook motifを含む1237アミノ酸残基の転写関連因子様タンパクをコードし、魚類からヒトに至るまで高度に保存された遺伝子である。ZFATを軸とした免疫系転写ネットワークの解明のために、ZFAT機能解析およびZFAT-DNA相互作用解析を柱とするネットワーク解析を開始し、以下のような研究成果を得た。 (1)ZFAT機能解析:ZFATが発現している白血病細胞株MOLT4の系においてZFATの機能解析を進めた。siRNAによるZFAT発現抑制時では細胞増殖率の低下、Sub-G1期の増加およびアポトーシス陽性細胞数の増加(アネキシンV染色)が認められた。さらにcaspase3の亢進が認められ、caspase阻害剤Z-VADにより細胞増加率の低下は完全に解消されたことから、ZFATのアポトーシス制御分子としての機能が示唆された。 (2)ZFAT-DNA相互作用解析:C57BL/6由来CD4^+T細胞のin vitro TCR刺激により、T細胞の芽球化に一致してZFAT発現量が一過性に亢進することを見出した。また、変性ZFAT蛋白をよりよく免疫沈降させる抗ZFAT抗体の樹立を試みた結果、M16抗体を樹立することに成功した。この免疫沈降能の優れたM16抗体を用いて、マウスCD4^+T細胞のin vitro TCR刺激後のZFAT発現量亢進時のChIP-chip解析によりZFAT-DNA相互作用部位の同定を試みた。複数回のChIP-chip解析を行い、候補領域(候補領域近傍遺伝子)を同定した。ZFAT相互作用標的遺伝子として、アポトーシス、転写関連遺伝子等を含む候補遺伝子を取得した。
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