研究課題/領域番号 |
17390106
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
堤 寛 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (80138643)
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研究分担者 |
鴨志田 伸吾 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (70351020)
下村 龍一 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (20360232)
中野 浩 藤田保健衛生大学, 学長 (80097732)
黒澤 良和 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 教授 (10109259)
三浦 惠二 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助手 (20199946)
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キーワード | 炎症性腸疾患 / 潰瘍性大腸炎 / クローン病 / 病変特異的抗体 / 酵素抗原法 / 抗体産生細胞 / クローナリティ / 抗体mRNA |
研究概要 |
本研究の目的は、炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎)の病変局所で産生される抗体を解析して、疾患の解析・診断・治療に有用な抗体を見つけ出すことである。炎症性腸疾患の病変局所には多数の抗体産生細胞が認められる。しかし、それらが産生する抗体の対応抗原は明らかではない。病変局所に浸潤することから、疾患に関連した抗体を産生しているものと思われる。そこで、病変部において特異的に産生される抗体mRNAをもとに抗体分子を調製して、対応抗原を解析するアプローチを計画した。病変局所で特定の抗体が集中的に産生されるならば、その抗体が病態に関連している可能性が推測され、抗体mRNAも特定のものが偏って認められはずである。しかし、病変局所の抗体産生細胞のクローナリティは解析されておらず、明らかではない。 そこで本年度は、炎症性腸疾患モデルであるデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発大腸炎マウスの病変大腸組織より抽出したRNAから、抗体H鎖cDNAを合成してシークエンス解析を行い、病変局所における抗体mRNAのクローナリティを解析した。その結果、対応抗原が同じ抗体産生細胞由来と思われる抗体cDNAシークエンスが、32クローンの中に3種類・7クローン認められ、病変局所では特定の抗体が集中的に産生されている可能性が示唆された。 今後の展望として、炎症性腸疾患モデル動物において、病変局所では特定の抗体産生細胞のクローナリティが高いことが示唆されたことから、今後はヒトの炎症性腸疾患に解析対象を拡大して、クローナリティの高い抗体cDNAを検索し、得られた抗体cDNAから抗体分子を調製して、対応抗原を解析する。そして、得られた抗体・抗原の有用性を検討する。さらに得られた抗原をビオチン標識して、組織内の特異抗体産生細胞の局在を証明する「酵素抗原法」により、得られた抗体の病変部における局在の証明を試みる。
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