研究概要 |
アレクサンダー(Alexander)病は,アストログリアの異常に起因することが明らかとなった唯一のヒト遺伝病である。本研究では,Alexander病と同様の変異型体を導入し,Rosenthal fiberの性状特性と病態形成との関連を解析できる疾患モデルマウスを作製することを主目的としている。疾患モデルとしての解析は,発症週齢,生存期間,臨床所見ならびに病理所見(光顕、電顕),Rosenthal fiberの性状特性(生化学的分析)及び行動特性などについて解析し,有効な治療法が見つかっていない本疾患の遺伝子治療に向けての基礎的知見の集積を目指しているが,マウスES細胞に導入実験に先立つ本研究課題実施中に米国の研究グループにより,全く同一のストラテジーによって変異マウスが作製され,上記に提案した解析特性のいくつかについて報告がなされた。そこで,同一変異個体の作製実験の遂行を断念せざるを得ない状況を鑑み,当該変異マウスについて電顕形態学的解析ならびに行動学的解析に主眼をおいた共同研究を開始する準備を整えている。また,電顕形態学的解析において基礎となるGFAP存在下あるいな欠損下でのアストログリアの反応特性を明らかにするため,申請者がすでに作製したGFAP欠損マウスにおいて,反応性グリオーシスを誘導するプリオン感染脳の標本を用いて形態学的に解析を進めている。現在までにGFAPを欠損する細胞においてもアストログリアの反応性グリオーシスが誘導されることを見出しており,定性的および定量的評価を進めている。
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