研究課題
本年度は、胎盤由来の幹細胞(trophoblast stem cells、TS細胞)の分化誘導を行うと、VEGF受容体-1(VEGFR-1)およびその可溶化型であるsVEGFR-1の発現が誘導される事を見いだした。そこで次にVEGFR-1の発現制御領域の探索を行なう目的で、マウスVEGFR-1遺伝子の5'上流側のゲノム領域約8kbを単離した。現在この領域について、ルシフェラーゼを用いたレポーター解析を行い、TS細胞におけるVEGFR-1/sVEGFR-1の発現制御領域の同定を試みている。また、in vivo、特に妊娠、および個体発生におけるsVEGFR-1の機能を明らかにするために、sVEGFR-1の配列に特異的なsiRNAを発現するトランスジェニックマウスの作成を試みた。まず上述したTS細胞の分化誘導系を用いて、VEGFR-1の発現には影響を与えず、sVEGFR-1の発現のみを効果的に抑制するsiRNA配列を決定した。次にこのsiRNAをU6プロモーターの下流につないだトランスジーンを有するトランスジェニックマウスを作成した。生まれて来たトランスジェニックマウスにおけるsiRNAの発現は、トランスジェニックマウスの脳、腎臓、肺、胸腺からRNAを抽出し、ノーザンブロッティングを行う事によって確認した。現在は、妊娠させたトランスジェニックマウスの胎児、胎盤の組織学的解析を行い、妊娠、胎盤、そして個体発生におけるsVEGFR-1の機能を明らかにする事を試みている。上記の実験に加えて、妊娠中に発現が上昇する事が知られているsVEGFR-1の発現誘導因子(群)の探索についても、妊娠マウス胎盤を試料として行っている。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (5件)
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