研究課題
「アミロイドーシス」は蛋白質の正常構造からβシートに富んだ線維(病理的)構造への変換が最も重要なステップである『蛋白質構造異常病』である。新たなモデルマウスの開発と伝播/感染仮説の検証を行いアミロイドーシスの発症機構の解明と治療、予防法の開発を目指し、平成19年度は以下のような成果を得た。1)チーターAAアミロイドーシスの伝播の解析:我々は絶滅危惧種であるチーターではAAアミロイドーシスの集団発症が飼育下での主要な死因であることを明らかにし、糞を介したAAアミロイド線維の伝播・感染の可能性を示した。さらにアミロイド蛋白質SAA1の遺伝子の転写調節領域に1塩基欠失多型を発見し。炎症に伴うSAAの発現上昇に関与する可能性を明らかにした。これらの成果は2008年に、PNASとJ Heredに掲載される予定である。2)その他のモデルマウスの作成:インターロイキン6のノックアウト(IL-6KO)マウスを用いて、炎症反応のアミロイドーシス発症への関与について検討した。AApoAIIアミロイドーシスの伝播による発症は、IL-6KOマウスでは伝播初期に抑制された。AAアミロイドーシスでは伝播は全く起こらなかった。さらにアミロイド等のタンパク質の凝縮などの異常構造の除去に関与すると考えられる熱ショックタンパク質の転写因子HSF1ノックアウトマウスではAApoAIIアミロイドーシスの発症が促進された。またAApoAIIアミロイド線維の筋肉への沈着を発見し、その伝播性について解析した。AApoAIIのf型のalleleを発見し、新たに作製したコンジェニックマウスを用いて、f型apoA-IIはアミロイドーシスの発症に関して強い抵抗性を持つ事を示した。
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