研究概要 |
1)中型動物を用いた家畜トリパノソーマ症の治療:アフリカのヤギにTrypanosoma congolense IL1180株を10^4/goat静脈内に接種しアスコフラノンによる治療実験を開始した。各群4頭の感染ヤギにアスコフラノン200,100,50mg/kgを筋肉内に3日間連続投与した。対照群にはPBS-Tween 20を実験群と同様に投与した。投与終了後毎日体重、体温、血色素量(貧血度)、原虫の再発を60日間調ベアスコフラノンの治療効果を検討した。50mg/kg投与群において24日目に2頭の再発が見られ30日目において残りのヤギに再発が見られた。100mg/kg投与群では30日目に1頭に再発が見られ31日目に2頭に再発が認められ37日目に残りのヤギに再発が認められた。治癒した200mg/kgアスコフラノン投与群では投与後貧血の解消、解熱が著名に見られ、体重の回復が認められた。 2)アスコフラノンおよびその誘導体の合成と構造活性相関:アスコフラノンのフラノン環を欠くもの、フラノン環の代わりに種々の官能基を付けたもの、側鎖の長さを変化させた各種の誘導体を用い培養原虫への致死効果を調べた結果フラノン環は必須ではないこと、フラノン環の代わりにpivalateを付加した誘導体でより有効な原虫致死効果を示す化合物が見つかった。 3)組み替え酵素を用いたアスコフラノンの阻害作用機序の解析:Trypanosoma b.brucei, T.vivax, T.congolense, T.b.evansiからシアン耐性呼吸酵素(alternative oxidase, AOX)遺伝子をクローニングし大腸菌により得た組み替え酵素を用いアスコフラノンによる阻害作用を調べそのメカニズムを解析した結果アスコフラノンによる阻害作用は競合阻害であることを証明した。
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