研究課題
赤痢アメーバの病原機構を網羅的に理解することを目的として、全タンパク質コード遺伝子をカバーしたDNAマイクロアレイを用いて、赤痢アメーバの遺伝子発現プロファイルの作成を試みた。米国TIGRの赤痢アメーバゲノムデータベースに存在するタンパク質をコードする全遺伝子9435のうち、重複を除いた7712遺伝子に関して、それぞれ8-16種類の25merのプローブをもつアフィメトリクス社製のアレイを作成した。ラボのリファレンス株を用いた発現プロファイル解析によると、80%以上の遺伝子の発現が確認された。結果の評価には同一検体のトリプリケートが必要であることが解った。次に、遺伝的背景が同一で病原性の異なる株を2系列作製することに成功した。病原性の増強はクリシジア原虫との共培養とハムスター肝臓への感染を5-10回繰り返すことで行い、逆に減弱は無菌培養の1年以上の継続により行った。更に、確立したインビトロ・インビボ病原性評価系を用いて、得られた株のインビトロ・インビボでの病原性の相違を確認したところ、哺乳動物細胞モノレイヤーの破壊、動物感染における肝膿瘍の形成いずれの基準でも明らかな病原性の相違を示した。更に、これら病原性の異なる株間での貪食胞(ファゴソーム)の酸性化・分解の動態を調べたところ、これらのパラメータは病原性と逆相関を示すことが明らかとなった。以上の成果により、次年度に計画されている、病原性の異なる株間での発現パターンの比較を行う準備が完全に整った。
すべて 2006 2005
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