研究課題/領域番号 |
17390129
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
奥田 研爾 横浜市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40124862)
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研究分担者 |
島田 勝 横浜市立大学, 医学部, 準教授 (40301452)
武下 文彦 横浜市立大学, 医学部, 助手 (60333572)
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キーワード | 緑膿菌 / DNAワクチン / 多価ワクチン / 自然免疫 / TLR5 |
研究概要 |
DNAワクチンは、安全性が高いが効果は弱いことから、免疫原性を高める為の検討を行った。緑膿菌DNAワクチンの基盤的研究のため、PAO1株ゲノムDNAよりPCR法で対応する遺伝子を増幅し、外膜蛋白(OprF/I)、III型分泌機構関連蛋白(PcrV)及び鞭毛抗原FlaA、FliC、FliDを標的とするDNAワクチンを作製した。各々のワクチン単独及び混合したものをマウスに筋注エレクトロポレーション法で免疫すると、各抗原に対するTh1優位の特異的抗体(IgG2a>IgG1)が誘導された。2LD_<50>の緑膿菌(D4またはPAK株)を経鼻感染させたところ、OprF/I、PcrV、PilAの三者混合免疫(多価ワクチン)では100%のマウスが10日以上生存した。また同じマウスで、菌感染後2時間以内に肺胞洗浄液中のMIP-2、24時間後にはIFN-γが有意に増加し、3時間以内に肺胞内に好中球の集積、マクロファージの増加を認め、敗血症の進行を完全に抑制することが明らかとなった。菌を免疫マウスの血清IgGと混合して、非免疫マウスに感染させると、多価ワクチン免疫血清IgGのみで強力に感染防御効果を示した。これより、我々の今回作製したワクチンはTh1優位の抗体を誘導し、気道・肺胞における自然免疫を活性化させ迅速かつ強力に菌を排除することが判明した。次に、単独で強力な感染防御能を誘導したFliCによる自然免疫活性化作用機序を検討した所、TLR5に認識され、NF-κBを活性化し、マクロファージからTNF-αを強く誘導することが判明した。一方このFliCのいくつかの部位の単一アミノ酸変異体を作製し、鞭毛の特定部位がTLR5活性化に必須であることが判明した。今年度の研究にて、単独で最も効果のあるものはFliCであり、次にPcrV、OprF/Iの順であり、また3種抗原標的多価ワクチンは非常に強い感染防御能のあることが判明した。
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