ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)およびヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)の感受性細胞、特にT細胞での感染およびその動態の研究を行い、下記の成果を得た。 1.ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)ウイルス粒子を形成するコレステロールは、ウイルスの宿主細胞への侵入過程、特に膜融合過程に重要であることを明らかにした。ウイルス粒子形成過程においてコレステロールが重要である可能性が示唆された。 2.ヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)がコードするU47遺伝子は、約49から51kDaの大きさであり、Endo HおよびEndo Fで切断され、N型糖鎖によって修飾された糖タンパク質であることが明らかとなった。さらに、他の糖タンパク質である、glycoprotein H(gH)やglycoprotein L(gh)と結合し、ウイルス粒子中に存在することが明らかとなった。即ち、U47はエンベロープ糖タンパクであることが示唆され、ウイルス粒子形成あるいは、ウイルス侵入過程に機能している可能性が示唆された。 3.HHV-7がコードするケモカインレセプターホモログであるU12およびU51の機能解析を行った。CCR7あるいはCCR4とU12あるいはU51を共発現させた細胞では、CCR7(CCR4)のリガンドだけでなくCCR4(CCR7)のリガンドの刺激により、細胞内のCa^<2+>濃度が一過的に上昇した。Ca^<2+>シグナル測定結果より、U12とU51はCCR7あるいはCCR4と共に発現させた場合、各々のリガンドによる刺激が増強される傾向にあり、CCR7(CCR4)がU12とU51に何らかの影響を与えている可能性が示唆された。 4.HHV-7は、感染細胞においてCD46およびCD59の発現量を上昇させ、感染細胞において協調的に補体の障害性を抑制している可能性が示唆された。
|