研究課題/領域番号 |
17390135
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
生田 和良 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (60127181)
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研究分担者 |
小路 早苗 大阪大学, 微生物病研究所, 特任研究員 (20397681)
作道 章一 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (10397672)
亀岡 正典 大阪大学, 微生物病研究所, 特任助教授 (60281838)
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キーワード | HIV-1 / vpu / サブタイプB / CRF01-AE / 遺伝子変異 / CD38 / RNF125 / アポトーシス |
研究概要 |
HIV-1は遺伝子変異を引き起こしやすく、これが大きなHIV-1病態の特徴となっており、根本的な治療法やワクチン開発ができない原因となっている。私たちは、これまでに、HIV-1のタイ型(AE型)と欧米型(B型)間の遺伝子配列比較を行い、vpu遺伝子にAE型とB型間で顕著な違いが存在することを報告した。すなわち、AE型はvpu遺伝子の変異率が極めて高い(〜30%)という特徴を持っており、AE以外のB型などのサブタイプはいずれも0〜5%と低かった。そこで、AE型およびB型のvpu遺伝子の遺伝子クローニング・発現し、この発現物を免疫してその免疫応答能(抗体分離)を比較検討した。その結果、AE型は単クローン抗体、ポリクローン抗体の分離が容易であったが、B型に対する抗体は分離することができなかった。この結果は、B型のVpu蛋白質は免疫原性が低く免疫応答を誘導しにくいが、反対にAE型のVpu蛋白質は免疫原性が高く、免疫応答を誘導しやすいため、変異株が免疫応答後でも生き延びることができると考えられた。 また、HIV-1粒子を吸着した健常者由来末梢血単核球(PBMC)のCD4+CD38-T細胞サブセット、また、HIV-1感染者PBMCからのCD4+CD38-T細胞サブセット(HIV-1吸着なし)は、周辺の正常T細胞をアポトーシスに導くエフェクター活性を獲得していることを報告した。そこで、このCD4+CD38-T細胞サブセットのエフェクター活性獲得機序を明らかにする前段階として、このT細胞サブセットでウイルス増殖を抑制的に制御している因子を検索し、RNF125という新しい宿主因子を同定した。このRNF125によるウイルス転写抑制はこのCD4+CD38-サブセットにおいてのみ認められ、CD4+CD38+サブセットではこのRNF125発現率が低く、この抑制が引き起こされていなかった。
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