研究概要 |
CD4陽性のヘルパーT細胞は,産生するサイトカインによってTh1細胞(IFN-γ,IL-2,TNF-β産生)とTh2細胞(IL-4,IL-5,IL-13産生)に分類される。これらの細胞は,それぞれ違った局面で免疫反応を制御している。さらに,Th1/Th2のバランスは,多くの免疫が関与する病態と密接な関係を持っている。Th2優位の状態はI型アレルギーの発症と関係があり,I型糖尿病や臓器特異的自己免疫疾患ではTh1優位の状態になる。 本申請研究では,Th1/Th2細胞の分化の際及びメモリーT細胞の機能維持に必要なクロマチンリモデリング制御御機構について解析した。特に,今年度は,ポリコーム遺伝子であるBmi1分子のノックアウトマウスで,エフェクター細胞までは分化できるものの,アポトーシスが亢進しているためにメモリーT細胞ができないことが分かった。この分子機序として,アポトーシスを誘導するBH3 only proteinであるNoxaが直接Bmi1のターゲット遺伝子であることが明らかになった(Yamashita et al.J.Exp.Med.In press)。また,Th2細胞の分化に必須の転写因子であるGATA3の複合体を,293T細胞およびD10G4.1細胞で解析し,特異的に会合する多くの分子を同定した。
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