研究課題/領域番号 |
17390142
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鈴木 治彦 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90283431)
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研究分担者 |
武田 湖州恵 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (80345884)
中島 泉 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (40022826)
早川 あけみ 山口東京理科大学, 基礎工学部, 准教授 (70412377)
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キーワード | 免疫制御 / 制御性T細胞 / CD8^+T細胞 / EAE / CD122 / CXCR3 |
研究概要 |
1.マウスを用いた実験の成果 EAE(実験的自己免疫性脳脊髄炎)モデルによってCD8^+CD122^+制御性T細胞の作用を検討した。EAEは、通常のマウスではEAE誘導後15-6日目をピークとしてその症状が軽快していく。しかし、抗CD122抗体を投与してCD8^+CD122^+制御性T細胞を除去しておいたマウスでは、その症状が一向に軽快せずに6週間以上経過することがわかった。また、このように抗体を投与してEAE症状の治まらないマウスに、他の同系統マウスから採取したCD8^+CD122^+制御性T細胞を移入してやるとEAE症状が速やかに回復していくという現象も認められた。以上の実験結果により、CD8^CDl22^+制御性T細胞が確かに免疫異常を基盤とする疾患の回復に非常に重要な役割を持っていることが証明された。 2.ヒト制御性T細胞の探索 マウスCD8^+CD122^+制御性T細胞は欠くことのできない重要な細胞であるが、ヒトにはCD8^+CD122^+細胞は存在せず、CD122以外のマーカーによってマウスCD8^+CD122^+細胞に相当するヒトCD8^+制御性細胞を見つける必要が生じた。マウスCD8^+CD122^+制御性T細胞に特異的に発現する遺伝子をDNAマイクロアレイによって探索したところ、CXCR3が候補として認められ、マウスではCD8^+T細胞中のCD122発現とCXCR3発現はよく相関していることがわかった。一方、ヒトにおいてもCXCR3を発現する細胞がCD8^+T細胞全体の1割弱存在していることがわかり、そのCD8^+CXCR3細胞の機能を調べたところ制御対象となる細胞のIFN-γ産生を抑えるなどの免疫制御機能が確認された。すなわち、ヒトではCD8^+CXCR3^+細胞がマウスCD8^+CD122^+細胞に相当する制御性細胞として働いていることが強く示唆された。
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