Toll-like receptor(TLR)を介した自然免疫系の活性化の細胞内寄生性原虫Trypanosoma cruziの感染防御における役割を解析した。TLRを介した自然免疫系の活性化の消失するMyD88-/-TRIF-/-マウス由来のマクロファージや樹状細胞はT.cruziの排除能が低下していた。そしてT.cruzi感染後のIFN-betaの発現が低下していた。IFN-betaのシグナルが消失するMyD88-/-IFNAR1-/-マウス由来の細胞もT.cruziの排除能が低下していた。さらに、MyD88-/-TRIF-/-マウスとMyD88-/-IFNAR1-/-マウスは、T.cruzi感染に対する感受性が高くなっていた。さらに、TLR依存性に誘導されるIFN-betaがT.cruzi感染防御に関わる分子機構を解析した。MyD88-/-TRIF-/-マウスとMyD88-/-IFNAR1-/-マウス由来の樹状細胞では、T.cruzi感染による細胞内寄生菌の排除に関わるp47GTPase IRG47の発現誘導が障害されていた。そこで、MyD88-/-マクロファージでRNAi法によりIRG47の発現を抑えると、T.cruziの排除能が低下した。この結果から、TLR依存性に誘導されるIFN-betaがIRG47を誘導することによりT.cruzi感染防御を担っていることが明らかになった。
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