研究概要 |
好塩基球はLPS受容体であるTLR4を発現しており、LPS刺激を受けるとIL-4,IL-6,IL-13を産生する。報告者は既にLPSを正常なBALB/cマウスに投与するとIgMだけでなく、IgG1とIgE産生が誘導されることを見い出している。平成17年度は、LPS投与で誘導されるIgG1/IgE産生のメカニズムを研究した。得られた結果は以下の通りである。 (1)LPSを正常野生型BALB/cマウスに投与するIgG1とIgE産生が誘導される。一方、LPSをBALB/cバックIL-4KOマウスに投与しても、IgE産生は誘導されなかった。またIgG1の誘導も低値であった。 (2)好塩基球と肥満細胞のTLR1〜9の発現をPCRで調べたところ、両細胞ともTLR1、TLR2、TLR4、TLR6を恒常的に発現していた。 (3)PGNとLPSで好塩基球と肥満細胞を刺激したところ、好塩基球はどちらで刺激されてもIL-4を産生したが、肥満細胞は産生しなかった。 (4)LPSをC3H/HeJマウスに投与してもIgE産生は誘導されない。また、IgG1は基本値にとどまり、LPSによる強増は認めなかった。 (5)LPSを投与されたマウスの脾臓では、cKit(-)FcεR1(+)の好塩基が著明に増加しており、PMAとionomycinでこの分画の細胞を刺激するとIL-4産生細胞の割合は、LPS非投与群のそれに比し、著明に高かった。 (6)IL-3を投与したマウスの脾臓では、cKit(-)FcεR1(+)の好塩基球の数が増加し、それを陽性選別後、B細胞と混合した後、IL-3+LPS刺激を加えるとB細胞はIgEを産生した。
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