研究概要 |
岐阜大学医学部附属病院は平成16年6月1日に新築・開院し,ほぼペーパレス・フィルムレス環境下で診療が行える病院となった。同時に,マルチベンダー・オープンシステムを目指した電子カルテシステムを構築し,病院内の診療情報を電子カルテサーバで集中・一元管理するData Centric Enterprise Architectureを採用した。このような電子カルテシステムはEAI的な運用を可能とし,これにより情報マネジメント技術を応用しやすい環境が整備できた。 電子カルテシステムの導入を契機として,医療の質的向上や診療の効率化が叫ばれている。しかし,このような業務内容の評価や改善を定量的に,かつシステマティックに行う手法についてはほとんど報告されていない。また,データマイニングについて報告された医学研究は多くあるが,電子カルテシステムとマイニング環境との連携を詳しく報告した例は皆無である。本研究では,まず岐阜大学病院の電子カルテシステムで管理されている患者毎の診療情報をマイニングする環境を構築した。また,領域知識やマイニング結果を新たなマイニングの参照知識としてスパイラル型でマイニングプロセスを継続させることができる環境も構築した。次いで,患者毎の診療プロセスを時系列的な診療行為歴情報であると解釈し,これに時系列処理可能なマイニング技術を応用して診療プロセス内容の分析を行った。この結果,マイニング技術を活用した定量的な診療プロセスの分析が可能であることが示された。 本研究により,次世代型電子カルテシステムによる診療工程・病院運営工程の統合分析環境の構築と解析の環境は構築できた。
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