本年度は、医療における総合的な電磁環境を構成するべき要素のうち、放射電磁界制御、電源重畳ノイズおよび放射電磁界シミュレーションの精緻化に重点を置いて研究をすすめた。 (放射電磁界) ICUなど携帯電話の持ち込みを慎むべき空間への持ち込まれの実態調査を行うと共に、対策として販売されている製品を調査・設置の上、実験局として運用試験を行った。また装置設置に伴って発生した携帯電話電波不達地域のうち、職員休憩場所について携帯電話の通話を可能とすべく、電磁遮蔽シートを用いた電磁界制御の試みを行い、成功した。これらの成果は学会において口頭発表した。 (電源ノイズ) 医療機関の供給電力に重畳するノイズによる電圧変動と医療事故にっながるような医用電子機器の機器停止や動作異常(誤動作)が発生しないかどうかについて、昨年度から継続して調べた。その結果、JIS規格の瞬時特別非常電源が許容する0.5秒という復電時間よりも短い時間の停電でも医療機器が停止し、自動復帰しない例が認められたので、学会において口頭報告した。 (電磁界シミュレーション) 実測値とシミュレーション値の比較を、単一放射源による電磁界だけでなく、より実況に即した複数放射源による電磁界分布を対象として行うべくプログラムの改良を行った。また、複合媒質からなる電磁波シールド布の等価的な媒質定数を決定するためのシミュレーションを行った。これらの成果は平成19年度の学会において口頭発表予定である。
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