本年度は、医療における総合的な電磁環境を構成するべき要素のうち、電源重畳ノイズ、接地および放射電磁界シミュレーションに重点を置いて研究をすすめた。 (医療現場における電磁環境の総合的な調査:電源ノイズ) IT化が進む医療機関における電源供給のあり方として、医療機器とその他という目的を明確にした供給体制と、JIS規格に則ったコンセント区分および非常電源のあり方についてまとめ、解説論文として報告した。 (医療現場における電磁環境の総合的な調査:接地) 電気で駆動する医療機器は、接地が不良となった場合には動作が不安定となり、特に微小信号を取り扱う検査機器にあっては正しい検査結果が得られない場合がある。そこでJIS規格等で定められた病院接地(C種)を作成し、理想的接地(抵抗値10Ω内)および不良接地を人工的に作成し、その簡便な判別方法及び影響について調べた。この結果は平成20年度に報告の予定である。 (電磁環境シミュレーションの開発と実証試験) これまで2次元空間で行ってきた放射電磁界の分布シミュレーションを3次元空間に拡張することを目指し、プログラムを改良した。応用例の1つとして、MRI室用電磁波シールドサッシの特性評価に関するシミュレーションを行った。この結果は平成20年度に発表の予定である。
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