研究課題/領域番号 |
17390153
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
粟屋 剛 岡山大学, 大学院・歯薬学総合研究科, 教授 (20151194)
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研究分担者 |
許 南浩 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70173573)
佐藤 純一 高知大学, 医学部, 教授 (70295377)
星野 晋 山口大学, 医学部, 講師 (00259649)
長田 浩 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (60316049)
加茂 直樹 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (10027691)
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キーワード | 臓器売買 / 人体資源化 / 人体商品化 / 臓器移植 / 病気腎移植 / 自己決定 / 自己責任 / 生命倫理 |
研究概要 |
今年度も昨年度に引き続いて、究極の人体商品化ともいうべき臓器売買に着目して研究を進めた。具体的には、2007年4月から2008年3月の間に、フィリピン大学哲学部のレオナルド・デ・カストロ教授らの協力を得て、フィリピンのマニラ市、その郊外、ミンダナオなどの地域で、腎臓ドナー(売却者)への大規模聞き取り調査(面談方式)を実施し、合計311人のドナーから回答を得た。なお、2007年5月時点での調査結果をもとに、同月27日に九州大学で開催された国際シンポジウム「The Ethical, Legal and Social Challenge of the Organ Trade In Asia: Current Trends, Future Prospects」にて、「International Symposium on 'Organ Trade', Why Now?」と題して講演を行った(その後、討論)。最終調査結果の概要(一部のみ)は以下の通りである。 311人のドナーのうち、159人が臓器を提供した相手が外国人であったと回答した。提供先としては、アラブ諸国の人々への提供が95人、中国人に対しての提供が16人、日本人に対しての提供が15人であった。臓器を有償で提供したこと(すなわち臓器売買)の理由としては、全体のうちの86%が貧困等の経済的事由を挙げた。謝礼(=売買)額の平均は12万ペソ(約30万円)であった。しかし、提供者の53%が謝礼を受け取ったものの、経済的状態の向上に結びつかなかった、もしくは、状況は変わらなかったと回答した。また、調査を分析した結果、32%が医師が事前に十分な説明を行わなかったと回答するなど、インフォームド・コンセントが充分ではない実態が浮き彫りになった。他方、腎臓を提供したことを「後悔している」と回答したのは26%であり、「後悔していない」と回答した70%を大きく下回る結果となった。なお、これらの調査結果はフィリピン国内で大きく報道された。日本でも、朝日、読売、毎日などの各紙が取り上げた。今後、国際誌に投稿予定。
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