研究課題/領域番号 |
17390157
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
赤池 昭紀 京都大学, 薬学研究科, 教授 (80135558)
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研究分担者 |
香月 博志 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (40240733)
久米 利明 京都大学, 薬学研究科, 助手 (10303843)
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キーワード | 神経細胞死 / 興奮毒性 / 一酸化窒素 / セロフェンド酸 / ドネペジル / ニコチン受容体 |
研究概要 |
ニューロン死に対する生体内防御機構の解明を目指し、ニコチン性アセチルコリンを代表とする神経伝達物質とウシ胎仔血清由来神経保護活性化合物を中心に研究を実施した。1.申請者らが同定した神経保護活性化合物セロフェンド酸が、培養下の脊髄運動ニューロンをグルタミン酸細胞毒性から保護することを見出した。運動ニューロンに対するグルタミン酸の毒性は一酸化窒素(NO)の産生を介するものであり、セロフェンド酸はNOドナーにより誘発される運動ニューロン死に対しても保護作用を示した。さらに、セロフェンド酸はin vivoにおいて6-ヒドロキシドパミンにより誘導される黒質ドパミンニューロンの変性や、培養下の内耳有毛細胞に対するアミノグリコシド系抗生物質の毒性に対しても顕著な保護効果を示した。2.ウシ胎仔血清の抽出物をHPLCにより分画し、in vitroでのcaspase-3活性阻害作用を指標としてスクリーニングを行い、複数の活性画分を同定した。うち、最も強い活性の認められた画分について再度HPLCによる分画を行い、活性化合物の絞り込みを行った。3.中枢型アセチルコリンエステラーゼ阻害薬であり、アルツハイマー病治療薬として用いられているドネペジルあるいはガランタミンを培養大脳皮質細胞に4日間処置すると、α4型およびα7型ニコチン受容体の発現が増大した。また、ドネペジルあるいはガランタミンを前処置してニコチン受容体発現量が増加したニューロンでは、グルタミン酸毒性に対するこれら薬物の細胞保護作用がより顕著に認められた。ニコチン受容体の制御が神経保護の有用な戦略の一つとして位置づけられることが示唆された。
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