研究課題
低分子量化合物によるニューロン死に対する生体内防御機構の解明を目指し、セロフェンド酸の作用の解析と新規神経保護活性化合物の探索およびニコチン性アセチルコリンの神経保護作用を中心に研究を実施した。1.セロフェンド酸がin vivoにおいてラット一過性中大脳動脈閉塞による虚血障害に対して保護作用を示した。すなわち、セロフェンド酸の脳室内投与により梗塞巣体積の減少と行動学的指標であるneurological deficit scoresの改善が観察された。2.新規神経保護活性化合物の探索のターゲヅトとしてウシ胎盤に注目し、有機溶媒での抽出後、in vitroでのcaspase-3活性阻害作用を検討したところ、この抽出物はcaspase-3活性を抑制した。抽出物をHPLCにより分画し、caspase-3活性阻害作用を指標としてスクリーニングを行い、複数の活性画分を同定した。うち、最も強い活性の認められた画分について再度HPLCによる分画を行い、活性化合物の絞り込みを行った。また、この抽出物は培養大脳皮質ニューロンにおけるグルタミン酸神経毒性を抑制した。3.アルツハイマー病治療薬として用いられている中枢型アセチルコリンエステラーゼ阻害薬のドネペジルを慢性投与することによるα7型ニコチン受容体の発現増大に対するニコチン受容体およびホスファチジルイノシトール3リン酸(PI3K)経路の関与について検討した。ドネペジルの慢性投与時にニコチン受容体アンタゴニスト、あるいはPI3K経路の阻害薬を同時に投与することによりα7型ニコチン受容体発現増加は抑制された。このことより、ドネペジルによるα7型ニコチン受容体の発現増大にはニコチン受容体およびPI3K経路の関与が示唆された。
すべて 2006
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