研究課題/領域番号 |
17390158
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
齋藤 秀之 熊本大学, 医学部附属病院, 教授 (40225727)
|
研究分担者 |
野々口 博史 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (30218341)
濱田 哲暢 熊本大学, 医学部附属病院, 准教授 (00322313)
|
キーワード | 腎障害 / 薬物排泄 / 薬物トランスポータ / 尿毒症物質 / インドキシル硫酸 / シスプラチン |
研究概要 |
本年度は、腎虚血再灌流及びcisplatin誘発急性腎不全モデルラットを作成し、急性腎障害時における有機イオントランスポータの発現・機能変動並びに薬物動態変動について精査することを目的とした。 有機イオントランスポータ発現・機能に及ぼす腎虚血再灌流の影響について検討した。その結果、虚血再灌流・急性腎不全モデルラットにおいて、有機アニオントランスポータの発現量並びにアニオン性薬物輸送活性が顕著に減少すること、それに伴い尿毒症物質インドキシル硫酸の血中濃度が上昇することを突き止めた。また、腎虚血再灌流にH_2受容体プロッカーfamotidineの腎クリアランスが顕著に低下することを示した。尿細管有機イオントランスポータ発現に及ぼすcisplatin並びにインドキシル硫酸の影響について検討した結果、cisplatin腎不全ラットにおいてrOAT1、rOAT3の発現量が減少すること、それに伴い尿細管における有機アニオン輸送活性が減少していることを示した。経口吸着剤AST-120の併用により、腎障害に伴って減少したrOAT1及びrOAT3の発現と輸送活性が回復することを示した。また、低Mg血症時では、低用量cisplatinによっても腎障害が惹起されること、それに伴いrOAT1及びrOAT3発現量が減少すること、血清中インドキシル硫酸濃度が上昇することを見出した。インドキシル硫酸処理によって、単離近位尿細管におけるrOAT1発現量が抑制されることを見出し、腎障害時における血清インドキシル硫酸濃度の上昇が、有機イオントランスポータの制御因子として一部関与する可能性を示唆した。 本年度に得られた知見を踏まえ、次年度は急性腎不全及び薬剤性腎障害における尿毒症物質の病態学的役割の究明、並びに尿毒症産生系を標的とした腎障害改善物質のスクリーニング系の確立を試みる。
|