研究分担者 |
斎藤 喬雄 福岡大学, 医学部, 教授 (10125552)
兼岡 秀俊 福岡大学, 医学部, 准教授 (20161169)
山内 淳史 福岡大学, 薬学部, 准教授 (90341453)
首藤 英樹 福岡大学, 薬学部, 准教授 (60412574)
丹羽 正美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (20136641)
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研究概要 |
免疫抑制薬,cyclosporine A(CsA)およびtaclolimus(TCL)は移植医療のみならず,現在では,関節リウマチ(RA)等の自己免疫疾患に試用、応用されている。これら薬物の治療上の問題点として腎,肝や中枢性有害作用の発現がある。本研究は,RA病態下でCsA/TCLによる有害作用の易発症因子、増悪因子とそれを支配する遺伝子情報を明らかにし有害作用の評価、予測システムを構築することを目的とする。前年度は,中枢性有害作用に関する基礎研究として,脳血管内皮細胞,アストロサイト及びペリサイトから成る新規のin vitro血液脳関門(BBB)モデルを構築し,3種細胞間のクロストークがBBB機能の発現、維持に必須であることを明らかにした。また,このin vitro BBBモデルにlipopolysaccharide(LPS)を負荷すると密着結合能が低下し,炎症病態ではBBB機能が脆弱化する可能性が示唆された。そこで,本年度は,RA病態を全身性炎症と捉え,in vivo炎症病態モデルでのBBB構成細胞の形態変化ならびにBBB機能変化について調べた。また,in vitro BBBモデルに脳内の免疫担当細胞であるミクログリアを加え,BBB機能の脆弱化におけるミクログリアの関与について検討した。本年度の成果は以下のとおりである。 (1)LPS投与により誘発した炎症モデルマウスにおいてペリサイトの形態異常が観察された。また,ペリサイトの形態異常に伴い,密着結合能の低下ならびにミクログリアの活性化が観察された。 (2)脳血管内皮細胞/ミクログリア共培養系でLPSを負荷すると,密着結合能が低下した。これは,ミクログリアの活性化により産生される活性酸素種に起因することが判った。 以上,RA病態を含む炎症病態では,ミクログリア活性化等によりBBB機能が脆弱化しており,CsA/TCLの中枢毒性が易発症となる危険性が高いことが示唆された。
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