研究概要 |
血清の前処理における検討では、低分子量タンパク分離デバイスを使用した場合、かえって検出タンパク数が減少しており、現段階ではこのデバイスに関してはさらに検討を要する。しかし元来アルブミンなどの主要タンパクの少ない髄液(Lupus 17: 16-20, 2008)や、脳など組織中のタンパクの同定(Neurosci Lett 422: 114-118)に関しては本研究で用いた質量分析法は有力な武器となりうることを証明した。さらにindoleamin 2, 3-dioxygenaseのニトロ化による翻訳後修飾の微細な構造変化についても検出可能であった(J Immunol 176: 372-379, 2006)。また、Con Aカラムを用いての血清処理はその後の一次元電気泳動および質量分析にて自己免疫疾患のidiopathic thrombocytic purpura(ITP)の鑑別診断に,血清セルロプラスミン濃度が有効であることを示した(Clin Chim Acta 389: 132-138, 2008)。さらに、卵白アレルギーの患児において未報告のタンパクがアレルゲンとして作用している可能性を見出した(Clin Exp Aller投稿中)。 今後は血清処理法についてさらに効率的な方法が確立できれば、血清において多くの有益なバイオマーカーの発見が期待される。
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