研究課題/領域番号 |
17390162
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
前川 真人 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20190291)
|
研究分担者 |
竹下 明裕 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (00242769)
堀井 俊伸 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助手 (80283430)
白井 直人 浜松医科大学, 医学部, 助手 (90362194)
飯野 和美 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助手 (90402263)
|
キーワード | DNAメチル化 / 血液悪性腫瘍 / 固形癌 / 遺伝子発現 / 低メチル化 / SNCG / JAK2 / RUNX1 |
研究概要 |
腫瘍組織におけるDNAメチル化について、血液悪性腫瘍と固形癌を比較しながら検討した。 Synuclein γ(SNCG)遺伝子は、細胞株での検討から、メチル化によって発現が沈黙し、低メチル化によってSNCG遺伝子の発現が生じていた。しかし、メチル化されていても発現している細胞もあった。白血病・消化器癌・脳腫瘍でも約半数で低メチル化とSNCG遺伝子の発現が認められた。健常人の全血から抽出したDNAではメチル化しており、発現は認められなかった。従って、全血を試料とすれば、低メチル化が異常細胞の存在を示す可能性がある。 JAK2遺伝子のF617Vミスセンス変異が、近年ヒト骨髄増殖性疾患において報告されてきたが、メチル化状態の報告はない。そこで、白血病および固形癌の細胞株でJAK2プロモーターのメチル化と遺伝子発現について検討した。その結果、DaudiではJAK2遺伝子プロモーター領域とexon1〜inton1内CpGアイランドのいずれもメチル化していた。この細胞株では遺伝子発現が低く、プロモーター領域のメチル化が発現抑制に関与していると考えられた。 RUNX1/AML1遺伝子は、造血系細胞の発生・分化に必須の転写因子であり、exon2の上流のプロモーター領域に巨大なCpGアイランドを有している。さらにexon1とexon2に転写開始部位があり、多様なsplicing variantを発現する。RUNX1遺伝子のCpGアイランドのメチル化状態とsplicing variantの発現について調べた。AML 1aはほとんどの細胞株で発現がほとんどなかった。AML 1cは、固形癌細胞株のMKN1、KATO IIIおよびCaki-1で高発現していたが、その他ではほとんどなかった。固形癌細胞株では白血病細胞株と部位によって異なるメチル化パターンを示した。 以上の結果をふまえ、末梢血液中におけるDNAメチル化もしくは低メチル化を指標とした検索を進めている。
|