研究概要 |
MTAP酵素欠損診断のアルゴリズムを検証するために,骨肉腫症例について検討した。免疫組織染色によるMTAPタンパク欠損診断,MTAP遺伝子欠失診断,さらにプロモーター・メチル化診断を行った。 骨肉腫40例を免疫組織染色により調べると,11例(27.5%)でMTAPタンパクが欠損していた。40例の骨肉腫組織のうち,DNAを抽出できた15例にっいてreal-timePCRによる遺伝子欠失診断を行った。これら15例中6例は免疫組織染色によりタンパク発現が見られなかった。タンパク発現のない6例中3例では遺伝子が欠失し,2例ではプロモーターのメチル化が確認された。残り1例では,遺伝子欠失もプロモーターのメチル化も認められなかった。 この結果は,他の診断方法(遺伝子欠失診断とプロモーター・メチル化診断)に比べて,免疫組織染色によるMTAP酵素欠損診断は臨床的に有用であることを証明した。また,酵素欠損機序として,他のepigenetic mechanism(アセチル化/脱アセチル化)の存在も示唆された。
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