研究課題/領域番号 |
17390163
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
登 勉 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60106995)
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研究分担者 |
白石 泰三 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30162762)
高尾 仁二 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (30263007)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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キーワード | MTAP / 遺伝子欠失 / 抗MTAP抗体 / 免疫組織染色 / 骨肉腫 / 肺癌 / 選択的化学療法 / 分子標的 |
研究概要 |
MTAP遺伝子欠失診断にはreal-time PCRによる定量検査が可能であるが、臨床組織検体では正常組織の混入による偽陽性が問題になる。我々はMTAP偽遺伝子をコントロールとして用い、MTAPエクソン8との比で欠失を判定する診断法を既に確立し、報告した。欠失の判定に用いるカットオフ値は0.5としているが、肺癌を対象にした検討の結果、0.7であっても免疫組織染色で陰性例があった。このような例では遺伝子欠失以外の機序が考えられるため、酵素タンパクの検出による酵素欠損の診断法がより精度が高いと予想される。我々が作製した抗MTAP抗体のエピトーマッピングにより、この抗体が、酵素欠損例では常に欠失しているMTAPエクソン8のアミノ酸配列を認識することを確認した。次に遺伝子欠失診断法と免疫組織染色法を用いて、原発肺癌組織や骨肉腫組織を対象にMTAP欠損の頻度を調べた。いずれの腫瘍でも約30%に酵素タンパクの欠損を認めた。遺伝子欠失が無く免疫組織染色法で陰性の場合、Methylation-specific PCRによりメチル化が原因かどうかの検討を行った。プロモーターのメチル化による酵素欠損の頻度は約10%であった。これらの検討の結果、ほとんどの例では酵素欠損機序は遺伝子欠失とプロモーターのメチル化であることがわかった。しかしながら、骨肉腫では、これらの機序だけでは酵素欠損を説明できない例があった。 正常組織が混入する臨床検体でも、簡便に、かつ精度よくMTAP酵素欠損を診断出来る免疫組織染色法の確立は、本酵素欠損を分子標的とする選択的化学療法の開発に大いに貢献すると考える。
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