研究概要 |
20年度は本申請課題の最終年度として、過去3年間に開発改良した実務的遺伝子検査法を実践邸的に臨床導入し、その有用性の評価を行った。また、近年の遺伝子工学的モノクロ製材や小分子による分子標的療法の適正な使用のための検査支援システムを開発した。 1)造血器腫瘍の形質・遺伝子検査の総括として、Flow cytometryによる一次検査で不足する診断根拠をHTLV-lSBH, PCR定量、IgH SBH, Ig-X chimera PCRなどで遺伝子学的に相補し、精度の高い品質として実用化し、直接的に患者に還元する体制を整えた。 2)造血器腫瘍の分子標的療法の進歩は急速に臨床みおける検査のあり方も変化している。特に治療効果の評価は細胞レベルから染色体・分子のレベルでのMRDとしての評価が重要になり、それに対応すべき、世界標準法に準じたBCR-ABL mRNA qPCR法を樹立した.また、Ph(+)白血病の分子標的剤であるImatinibは高い寛解率にも関わらず長期の投与でchimeric ABLの活性loopにmutationをきたし、耐性を獲得する。そこで、今年度はImatinib耐性遺伝子変異を迅速・簡便にgene scanningするHAMを開発し、HRM Screening genesのみを直接シークエンスすう法を開発した。 3)固形がno分子標的療法では大腸癌におけるCetuximabの使用基準EGFの証明が必要である。しかし、過剰EGFに始まる主要cancer signal pwの途中にRasがシグナルの伝達・調節を担っており、効果の運命はwild-type Rasに依存する。本研究において、k-ras codon12,13変異の有無をホルマリン標本から高感度・迅速に検出する系を樹立し臨床に還元している。 4)固形がんのnovel biomarkerとしてserum cytochromeの有用性を明らかにした。特に、本biomarkerは遠隔転移との相関が強く、従来の腫瘍存在や腫瘍burdenのマーカーと異なる特性が明らかにされた。 5)Treg cellのmaster geneとされているFoxP3のoncogenesisに関わるaberrant expressionを、cell-linealityを超えて血液細胞から上皮細胞性がんまで広く関与していることを明らかにした。最終年に当たり、本研究を介して臨床腫瘍に貢献出来る結果が得られた.
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