研究課題
アレルギー性疾患における環境と遺伝の相互作用の解明によってオーダーメード予防法を新たに提示するために、本年度では、気管支喘息症およびスギ花粉症における好酸球関連蛋白であるEotaxin/CCL11,Eotaxin-2/CCL24,Eotaxin-3/CCL26を、患者と対照者で比較した気管支喘息症における相関解析の結果、有意な関係が認められたのは、CCL26のT2497CとT2563Cであった。喘息難治群のT2497CのTとT2563CのCの多型頻度が、非難治群のそれに比べ、有意に高いことが認められた。これらの対立遺伝子の多型頻度は、非難治群と対照群では有意な差は認められなかった。CCR3のT51CとCCL26のT2563Cを単独で用いたときの遺伝子診断を、組み合わせて用いたときの遺伝子診断と感度、特異度について比較した。CCR3の遺伝子多型T51Cは喘息症の発症との関係が、CCL26の遺伝子多型T2563Cは喘息症の難治化との関係が示唆された。喘息の難治化の発症機序には、CCR3遺伝子とCCL26遺伝子の相互作用によって引き起こされる可能性が示唆された。また、スギ花粉症患者に関する相関解析の結果、スギ花粉症と有意な関連が認められた遺伝子座はCCL26の2497T/G,2563T/Cであった。変異型であるCCL26の2497Gアレルはスギ花粉症患者群に対して有意に多く、またCCL26の2563Cアレルは対照群に対して有意に多かった。ハプロタイプ解析の結果、スギ花粉症患者におけるハプロタイプT-Gの出現頻度は、対照群と比較して有意に高かった。CCL26の2497T/G,2563T/CのSNPsはCCL26 exon4中の3'-UTR(非翻訳領域)に存在することからEotaxin-3/CCL26の2497G変異により転写産物の安定化が引き起こされた結果、アレルギー反応が亢進したと想定された。
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