研究課題
アレルギー性疾患における環境と遺伝の相互作用の解明によってオーダーメード予防法を新たに提示するために、本年度では単球、繊維芽細胞、血管内皮細胞、平滑筋細胞などから、LPS、IL-1、 TNF-α等の炎症性刺激を受け産生されるMonocyte chemoattractant protein-1(MCP-1, CCL2)の遺伝子多型について気管支喘息における患者対照研究を実施した。相関解析の結果、MCP-1遺伝子のT901CとC1543Tの多型頻度には有意な差はなかったが、気管支喘息重症群のA-2518GにおけるGのAllelle頻度80.6%は、健常群の55.0%に比し有意に高いことが認められた。また、重症群と軽症群は、いずれも健常群と比較して有意に低い血清MCP-1値を認めた。 A-2518GのGGおよびA/Gを呈する人の血清MCP-1値は、 A/Aの人のそれより有意に低い値であることも認められた。したがってアレルギーの重症化におけるMCP-1の臨床的な意義も証明された。また、環境化学物質除去を目的として非晶鉄および活性炭を含む除去フィルターを新たに開発し、このフィルターでディーゼル排気粒子(Diesel exhaust particulate, DEP)を含む水をろ過し、アレルギーモデルマウスに投与し、気管支喘息の予防効果および軽減効果を検証した。そのフィルターによるDEP中に含まれるアレルギー促進物質の除去を試み、マウスへ投与を行ったところ、肺への好酸球および抗中球の浸潤が有意に抑制され、ダニ抗原特異的IgGl抗体価も有意に下がった。病理標本上からも肺の炎症が抑制されていることがわかった。以上より新たに開発したフィルターが環境化学物質の除去によってアレルギーの発症を予防できることを示すことができた。
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