研究課題
基盤研究(B)
アレルギー性疾患における環境と遺伝の相互作用の解明によってオーダーメード予防法を新たに提示するために、気管支喘息症とスギ花粉症患者における好酸球関連蛋白であるCC chemokine receptor(CCR)familyとEotaxin/CCL11,Eotaxin-2/CCL24,Eotaxin-3/CCL26、Monocyte chemoattractant protein-1(MCP-1,CCL2)の遺伝子多型を健常者と比較した。喘息症および花粉症におけるCCR3遺伝子の51C、CCL26の2497G、2563C、MCP-1遺伝子の2518Gの頻度が健常群に対して有意に多かった。また、これらの蛋白と重症度においても相関が認められた。したがってアレルギー発症および重症化におけるこれらの好酸球関連蛋白の臨床的な意義も証明された。また環境化学物質除去を目的として非晶鉄および活性炭を含む除去フィルターを新たに開発し、このフィルターでディーゼル排気粒子(Diesel exhaust particulate,DEP)を含む水をろ過し、アレルギーモデルマウスに投与し、気管支喘息の予防効果および軽減効果を検証した。そのフィルターによるDEP中に含まれるアレルギー促進物質の除去を試み、マウスへ投与を行ったところ、肺への好酸球および好中球の浸潤が有意に抑制され、ダニ抗原特異的IgG1抗体価も有意に下がった。病理標本上からも肺の炎症が抑制されていることがわかった。以上より新たに開発したフィルターが環境化学物質の除去によってアレルギーの発症を予防できることを示すことができた。
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