研究概要 |
個体によって喫煙による肺がんの遺伝的感受性(遺伝要因)が異なると考えられる。喫煙による肺がんリスクには、DNA付加体の原因となる中間活性体の生成量を決定する薬物代謝酵素とDNA付加体の除去修復に関与する酵素の遺伝子多型が関与している。そこで、肺がんにおける喫煙と薬物代謝酵素遺伝子多型、喫煙とDNA修復酵素遺伝子多型および薬物代謝酵素遺伝子多型とDNA修復酵素遺伝子多型の交互作用を明らかにするための研究を開始した。なお、本研究はInternational Lung Cancer Consortium(ILCCO)国際共同研究の一環として行われるものである。 九州大学医学研究院等倫理委員会およびヒトゲノム・遺伝子解析倫理審査委員会の承認を得た後、本研究を開始した。研究対象者の採血を行い、血液よりバッフィーコートを分離後、DNAを抽出し(患者191例、対照108例)、医療情報部において匿名化を行なった。研究代表者が肺がん発症感受性に関わる遺伝子多型について行なったreview(Kiyohara C, et al.NQO1,MPO, and the risk of lung cancer : a HuGE review, Genet Med,2005;7:463-478.Kiyohara C, et al.EPHX1 polymorphisms and the risk of lung cancer : a HuGE review.Epidemiology,2006;17:89-99.)の結果などから、遺伝子型の生物学的な意義が明確であり、遺伝子の発がんへの関与が生物学的にもっともらしい、CYP1A1、CYP2A6、CYP2A13、GSTM1、MTHFR、ERCC1、XRCC1およびXRCC3遺伝子の多型の解析を終了した。基本的には、統計学的な中間解析は本研究が終了するまでは行なわない。
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