研究概要 |
個体によって喫煙による肺がんの遺伝的感受性(遺伝要因)が異なると考えられる。喫煙による肺がんリスクには、DNA付加体の原因となる中間活性体の生成量を決定する薬物代謝酵素とDNA付加体の除去修復に関与する酵素の遺伝子多型が関与している。そこで、肺がんにおける喫煙と薬物代謝酵素遺伝子多型、喫煙とDNA修復酵素遺伝子多型および薬物代謝酵素遺伝子多型とDNA修復酵素遺伝子多型の交互作用を明らかにするための研究を開始した。なお、本研究はInternational Lung Cancer Consortium(ILCCO)国際共同研究の一環として行われるものである。 九州大学医学研究院等倫理委員会およびヒトゲノム・遺伝子解析倫理審査委員会の承認を得た後、本研究を開始した。これまでに、患者462例、対照379例のDNAを収集し、これの検体の連結可能匿名化を医療情報部において行なった。本年度は、研究代表者が肺がん発症感受性に関わる薬物代謝酵素やDNA除去修復酵素の遺伝子多型について、systematic review(Kiyohara C, et al.EPHX1 polymorphisms and the risk of lung cancer : a HuGE review.Epidemiology, 2006;17:89-99.)と著書(Kiyohara C, et al.DNA repair and lung cancer.In : DNA Repair.Nova Science Publishers Inc.NY, in press)を執筆した。これまでにCYP1A1、CYP2A6、CYP2A13、GSTM1、MTHFR(以上、薬物代謝酵素)、ERCC1、XRCC1およびXRCC3(以上、DNA除去修復酵素)遺伝子の多型の解析をほぼ終了している。基本的には、統計学的な中間解析は本研究が終了するまでは行なわない。
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