研究概要 |
当研究室では、今日までヘリコバクタピロリ菌に感染させた砂ネズミにアスペルジールス属のカビ毒素ステリグマトシスチン、食塩、ヨー素及び亜硝酸塩の投与を行い、その胃発がんに対する食物関連化合物の相乗作用について病理組織学的ならびに分子学的な実験研究を進めてきた(Scand J Gastroenterol, 2003(4)360-369, Food & Chem 2005(43) 1773-1780, W J Gastroenterol, 2006 12(14)2174-2180,日本衛生学会誌2006等に投稿。) 現在、さらに前回よりもより低い濃度の10ppbステリグマトシスチン及びより低濃度10ppmの亜硝酸塩のヘリコバクタピロリ菌感染ネズミにおける胃発がんへの関与を明らかにするために、6群に分けたネズミを長期間飼育中である。6群、すなわちヘリコバクタピロリ菌無感染の対照群、ヘリコバクタピロリ感染群、ヘリコバクタピロリ感染後ステリグマトシスチン投与群、ヘリコバクタピロリ感染後5%食塩投与群、ヘリコバクタピロリ菌感染後微量亜硝酸塩投与群、ヘリコバクタピロリ菌感染後微量ステリグマトシスチン投与プラス食塩投与群の6群である。スナネズミはすべて成和MGS/SEAである。ヘリコバクタピロリ菌株はATCC43504で、接種菌量は5.7×10^<11>CFU/mlを経口的に感染させたもので抗体価の定量的測定により感染を確認したものである。 動物は感染後約1年8ヶ月観察予定であり、現在、大分大学動物実験部門において毎日動物の水、餌を管理し、飼育すると共に、週1回体重の測定を行い、群別の生育状況の観察、毛並みの変化などを肉眼的に行っているところである。 明らかな行動の異常や変化に応じて可及的速やかに可能な限り解剖を行い、病理組織学的変化について、ヘマトキシリンエオジン染色、アリューシャンブルー染色などを行い、動物の胃粘膜の変化を化学的に観察するべく準備を進めているところである。
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