【目的】新しい生活習慣病プログラムとして、従来型の個別アセスメントに加えて行動変容感受性遺伝子を考慮した「オーダーメイド生活習慣病予防プログラム」、すなわち、ゲノム戦略とアセスメント戦略を融合した生活習慣病予防プログラムを開発することを目的とする。【方法】喫煙に関して5年間のコホート研究、運動に関して5年間のコホート研究および1年間の無作為割付介入研究、食事に関して6ケ月間の無作為割付介入研究を実施した。アセスメント戦略ツールとして生活習慣病改善優先順位決定システムを構築して、その効果評価を行った。【結果】喫煙についてはCYP2A6*1*1を有しL/S+L/L遺伝子型を持つ者は、CYP2A6*1*1を有しS/S遺伝子型を持つ者より禁煙できない傾向があった。禁煙に対して5HTTLPRとCYP2A6遺伝子多型の交互作用の可能性を示唆した。運動についてはβ3アドレナリン受容体Arg/Arg型について介入後にBMIの減少がみられたことから、Arg/Arg型が生活指導・環境改善介入に対してTrp/Trp型よりも高い減量効果を示す可能性が示唆された。また、体重の変化がない週2回、12週間の運動トレーニングでは、血清総アディポネクチン、HMWアディポネクチンレベルやHMWアディポネクチン比率は変化しないことが示唆された。食事についてはCYP7A1多型のCアレルを有する者においては食事指導のみでは血清TC濃度は改善しない可能性が示された。 APOE多型の・4/・3を有するものでは、食事指導のみでは血清TC濃度は高くなり、大麦摂取による血清TC濃度低下の反応性も鈍いことが示唆された。生活習慣改善優先順位システムの使用は体重減少、血糖値の改善に有効であることが示唆された。【結論】上記の結果からゲノム戦略とアセスメント戦略を統合した生活習慣病予防プログラムの構築が可能であることが示唆された。
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