研究概要 |
1)61名の周産期女性の継続的質問紙調査を行って、同時に採取した血清について分析を進めた。 対象血清中物質は、T3, T4, TSH, PRL, MHPG, BDNF, DHEA, Progesterone, Cortisol, IL-1, IL-6, TNF, GDNF, Biopterinである。なお、血清は妊娠末期、産後5日目、および産後1か月の3時点で採血して凍結した。 2)上記の血清中物質のうち、まず、エジンバラ産後抑うつ尺度による、質問紙調査による抑うつ点との相関関係をスペアマン係数を用いて検討した。 正の相関傾向を示したものは、TSH, DHEA, IL-1, Biopterinであった。 負の相関傾向を示したものは、T3, T4, TNF, BDNF, GDNFであった。 妊娠と産褥期でその相関傾向が変化したものは、MHPG, Prolactin, cortisol, IL-6であった。 3)未だ、現在分析を進めているが、BDNFおよびGDNFについては、エジンバラ産後抑うつ尺度において、陽性群と陰性群の2群に分けて検討すると、両群の間に、有意な差異を確認し、神経成長因子の抑うつ群妊婦血清での低下を確認した。 4)今後は、この妊婦血清中の抑うつ関連物質測定結果を詳細に分析して、その事柄については、論文として纏める作業を進める。 5)周産期女性の精神身体的健康維持のために、問題となるトラブルとなる妊婦の腰痛について、大学院生の修士研究として、研究を行った。妊婦腰痛の高い頻度の実態を把握するとともに、筋放電が腰痛者では静止期も、一般の腰痛者と同様に妊婦でも続いていることが明らかとなった。腰痛はその妊婦の精神的なトラブルでなく、実態を科学的に証明できた。 6)先に進めていたマタニテイ・ブルーズと自律神経活動との検討では、マタニテイ・ブルーズ症状は、副交感神経活動の低下に、関連することが、その後の検討により確実となった。これも、近日中に論文発表する。
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