研究概要 |
40-59歳の職域コホート構成員のうち、1997年と2002年にアンケート回答が得られた者を対象として-ストレスの心血管危険因子への影響を解析した。 1.ストレス回答の妥当性:「日頃ストレスが多いと思われますか」との問いへの4つの回答肢、「かなり多い」、「やや多い」、「普通」、「少ない」の各群の間で、職業性ストレス要因6項目、残業の有無、勤務形態、睡眠状況、運動習慣、相談相手の有無等を比較した。男性(5,159人)、女性(1,468人)共に本回答のストレス指標としての妥当性を支持する統計学的な関連性が認められた。 2.レプチンとの関連性:男性1,062人の解析で、上記回答に基づくストレス自覚が強くなるに伴い、年齢、肥満度(BMI)、他の生活習慣を調整しても血清レプチン値は有意な高値を示した。 3.血圧との関連性:男性1,673名において、5年間のストレス自覚と体格が血圧に及ぼす影響を検討した。二元配置分散分析において、体格の主効果と両要因間の交互作用が有意で、肥満持続群ではストレスが多い群ほど収縮期、拡張期血圧が高かったが、低体重持続群では低値を示した。 4.肥満度との関連性:男性2,144名において5年間のストレス自覚と満腹まで食べる習慣の両者が少ない群に比べて、いずれか一方のみ多い群では年齢、1997年のBMI、5年間の運動、喫煙、飲酒習慣、既往歴を調整すると5年間に有意なBMIの増加がないが、両者共に多い群では有意な増加が認められた。ストレス自覚の多い群は満腹まで食べる者の割合が高かった。 5.2007年1月から2月にかけて、在職者11,256人及び退職者671人に対して生活習慣病発症に関するアンケート調査を行った。今後は、集計を基に発症要因の探索に関する分析を行う。 6.レプチン濃度と血圧値の関連性、アディポネクチンのメタボリックシンドローム形成における役割などが明らかにされた。
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