研究課題/領域番号 |
17390190
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
井上 幸紀 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (50254397)
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研究分担者 |
切池 信夫 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60094471)
圓藤 吟史 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20160393)
林 朝茂 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (10381980)
佐藤 恭子 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (00381989)
長谷川 健 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 非常勤講師 (40398417)
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キーワード | 職業性ストレス / うつ病 / 性格 / ストレス対処方法 / 日本郵便 / 教職員 / 労働者 / 質問紙 |
研究概要 |
昨年度までに得られた日本郵便職員10,500名、大阪市教員2,500名、働いているうつ病患者150名の抑うつ度、種々の職業性ストレスの程度、性格傾向、ストレス対処方法などの結果を全人的見地から検討した。労働者の抑うつ気分には、量的労働負荷、裁量権、上司や同僚の社会的支援などの職業性ストレスが複合的に関与していることが確認でき、さらに、拡大家族による社会的支援が抑うつ気分に深く関連していることが明らかになった。 また、抑うつ気分と関連する性格傾向には、自己否定性が高く自己肯定性が低い自我傾向が関与し、論理的な自我傾向や批判的な他者否定性の、あるいは養育的な他者肯定性の自我傾向は関連しなかった。対処行動面においては抑うつ気分が情緒優先対処の増加と関連し、課題優先対処や回避優先対処とは関連を認めなかった。さらに、日本郵便職員にはDVDを作成し視聴してもらうことで、大阪市教職員には講演会に参加してもらうことで、抑うつ気分と職業性ストレス、性格傾向、ストレス対処方法の関連について教育指導を行ない、それが抑うつ気分に及ぼす影響について縦断的に検討した。これらの結果から、拡大家族の社会的支援の増強を含めた職業性ストレスの調整と、職業性ストレスに対し自己肯定的に認知的対応を行うことにより、情緒優先対処の抑制を行うことが労働者の抑うつ気分の軽減に有効であると思われた。普段から職業性ストレスを調整することはもとより、労働者個人の認知的傾向を把握し、上述した傾向を持つ者に対し個別にあるいは集団で認知再構成法などの認知療法に基づいた思考形式の変容について教育し、対処行動の選択方法を指導することが、労働者の抑うつ気分に対する予防や対応となり得ると思われる。
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