研究課題
【はじめに】現行のがん検診が十分な効果を示していないことから、血液を用いた新たなスクリーニング法の開発と、拇指球採血による新たな検診システムの構築を目的として本研究を実施している。平成17年度は、新たな腫瘍マーカー探索のために症例-対照研究を行い、検診システム開発のために拇指球からの微量採血法の検討を行った。【資料と方法】症例-対照研究では、胃・大腸・肺・乳・前立腺・甲状腺のがん患者を症例とし、対照は一般ボランティアとした。早朝空腹時に肘静脈より採血を行い、血漿中のアミノ酸分析とプロテオーム分析を行っている。両者の値を多変量解析によって比較し、新たな腫瘍マーカーを抽出する。拇指球採血を検討するために一般ボランティアから肘静脈と拇指球からの採血も行った。【結果と考察】これまでに43症例(肺がん29例、他がん14例)、対照85名の協力が得られている。中間解析として肺がん20例、一般85例のアミノインデックス解析を行った結果、感度88.0%、特異度85.0%、ROC曲線下面積0.88のカットオフ値が得られた。この結果は、肺がんX線検診の感度72.0%より良好であるが、X線検診の特異度95.0%より低い結果であった。また、拇指球血に関してはボランティア150人の協力が得られ、肘静脈血と拇指球血とのアミノ酸量の比較を行ったが、両者には相関関係が見られなかった。さらに、拇指球の採血箇所によってもアミノ酸値に相違があったことから、現段階では肘静脈血の代わりに拇指球血を用いることは無理があることを明らかにした。【今後】感度88.0%を示したアミノインデックスは、新たな腫瘍マーカーとしての可能性が高いことから、症例数を増やして検討を加えたい。プロテオミックスについては、現在解析中である。拇指球に関しては、安定性の高い採血法の検討を行う予定である。
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