研究課題
【はじめに】簡便な手法を用いた家庭で可能な新たな"がん"スクリーニング法の開発を目的として本研究を実施している。これまでの2年間の研究で、肺がん患者と一般人を対象として血清中の新たな腫瘍マーカーの検索と血漿中のアミノ酸プロファイル(AAP)を用いた判別分析を行い、AAPを用いた方法によるスクリーニングの可能性を示唆する結果を得ている。本年度は肺がん以外のがんについてスクリーニングの可能性を検討した。【資料と方法】対象は大腸がん50例、乳がん30例、前立腺についてはPSA4ng/ml以上のがん30例・肥大症23例とし、コントロールは対象の性、年齢を一致させた人間ドッグを受診した方でがん罹患が確認されなかった一般人同数とした。肘静脈より採血(氷温)を行い2時間以内に血漿を分離・凍結保存を行った。凍結後1ケ月以内に解凍し、LC/MSによりアミノ酸を計量した。解析は判別分析を用い、ROC_AUCにて判定を行った。【結果】AAPによる大腸がん、乳がん、前立腺がんのAUCはそれぞれ0.868、0.892、0.834であった。女性について大腸がんと乳がんの判別を行い、AUC0.850と良好な結果が得られた。前立腺がんについてはPSAによる判別能と比較したところ、AAPが高い判別能を示した。前立腺がんと肥大症との判別ではAUC=0.758と算定された。【考察とまとめ】血漿中のAAPにより肺がん、乳がん、大腸がん、前立腺がんのスクリーニングの可能性が示唆され、さらに、部位別のがん判別の可能性も示唆される結果が得られた。PSA検診では困難であった前立腺がんと前立腺肥大症も、AAPによる判別が有効であることが示された。これらに結果より、1回の肘静脈採血による血漿中のAAPによって複数部位のがんのスクリーニングの可能性が示唆された。今後、家庭で少量の血液の採取と保存の新たな手法の開発が必要である。
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