研究課題
本研究は無作為割付介入研究の手法を用いて6ヶ月の重点支援期間後の継続的な生活改善支援が、自助努力により有意に糖尿病発症を予防するか否かを明らかにする。前年度の検査値が空腹時血糖(FBS)110-125mg/dlを満たす参加者を5名以上募集可能で、5年間の長期フォローが可能な施設を地域・職域から募集した。参加を表明した55施設のうち46施設で実際に介入が実施された。参加者総数は449名であり、6ヶ月指導を完了したものは433名であった。研究開始時のスクリーニングにより、支援開始時に研究対象となったもの(FBS95-125mg/dl)は342名であった。重点指導期間中に糖尿病に移行したのは34名であった。6ヶ月間の糖尿病発症率は男性で高く、女性で低い傾向が見られた。介入期間中の空腹時血糖値にはほとんど変化が見られなかったが、HbA1cおよび1.5AGは有意に改善していた。6ヶ月終了時で糖尿病を発症せず長期フォローに同意した参加者は介入継続群で156名、対照群で136名であり、両群の特性はほぼ類似していた。平成18年12月現在で全ての施設で1年目のフォローアップが完了した。対照群では体重は変化しなかったが、介入群では0.7kg減少した(P=0.001)。HbA1cの変化は両群間でほとんど差がなく、空腹時血糖値は1.4mg/dl、1,5AGは0.4μg/ml、対照群に比べ、介入群でより改善しているが、いずれも有意な差ではなかった(それぞれP=0.3、P=0.27)。面接による支援を受けた集団では体重が0.5kg減少したのに対して、通信制による支援を受けた集団では1.1kgと約2倍減少した(P=0.13)。一方、面接による支援では空腹時血糖値は1.8mg/dl低下したのに対し、通信制による支援では、2.3mg/dl上昇していた(P=0.06)。今後更に介入期間を延長し効果を検討する。
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