研究概要 |
外傷性ショックモデル マウスの両側大腿部を90分間緊縛し,解放後48時間以内に野生型マウスでは約90%が死亡した.しかしながら,TNF-Rp55遺伝子欠損マウス(TNF-Rp55KO)では致死率が50%であり,外傷性ショックに対して抵抗性を示した.また,肝障害および肺障害もTNF-Rp55KOマウスで減弱していた.したがって,外傷1生ショックではTNF-Rp55を介したシグナルが増悪因子であることが判明した. 薬剤性肝障害モデル アセトアミノフェン肝障害において,好中球は増悪因子であり,したがって,アセトアミノフェン肝障害では好中球走化因子であるMIP-2の主要なレセプターであるCXCR2を介したシグナルが増悪因子であることが判明した. また,インターロイキンー1レセプターアンタゴニスト(IL-1ra)の遺伝子欠損マウスでは,アセトアミノフェンの代謝酵素であるチトクロームp450ファミリーのうちCYPIA2,CYP2E1およびCYP3A11の誘導が抑制されているために,肝障害が殆ど生じなかった. 急性膵炎モデル セルレイン誘導急性膵炎において,インターフェロン-γ遺伝子欠損マウス(IFN-γ KO),野生型マウスに比べて急性膵炎が増悪していた.したがって,急性膵炎ではではIFN-γを介したシグナル保護悪因子であることが判明した. 敗血症の法医剖検診断: 生前に明らかに死因として敗血症と診断されていた剖検事例について,Toll-like receptor(TLR-4,TLR-9)の肺における発現を免疫組織化学的に検索したところ,これらTLR-4,TLR-9が敗血症診断のための有用な指標であることが判明した.
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