外傷性腹膜炎の動物モデル マウスの回盲部を結紮後、注射針を1回貫通させることによって外傷性腹膜炎のマウスモデルを確立した.このモデルにおいては、手術後1週間で約50%のマウスが死亡し、腹腔液中のIL-1、IL-12、IFN-γ及びTNF-αタンパク量が著明に増加していた.したがって、これらのサイトカインが外傷性腹膜炎の病態樹立に重要な役割を果たすものと考えられた. 敗血症の法医剖検診断の確立 生前明らかに敗血症と診断された剖検例8例の肺組織及び対照群8例の肺組織を採取して、ケモカインレセプターであるCCR2及びCX3CR1の肺における発現を免疫組織化学的に検索したところ、敗血症群では対照群に比較して、明らかにCCR2及びCX3CR1の発現が増強しており、法医実務において、肺におけるCCR2及びCX3CR1の免疫組織化学的検索が、敗血症の診断のための有益な一つの指標となることを明らかにした. 薬物中毒モデル アセトアミノフェン(APAP)を腹腔内(200mg/kg)に投与したところ、IL1レセプターアンタゴニスト(IL-1ra)欠損マウスでは、アセトアミノフェン肝障害が著明に軽減していた.アセトアミノフェン肝障害では、肝臓においてcytochrome p450酵素群によってAPAPが毒性代謝物・NAPQIに代謝されることによりその障害が発症すると考えられている.IL-1ra欠損マウスではcytochrome p450の発現が抑制されているために肝臓でのAPAPからNAPQIの代謝が抑制されているために肝障害が生じにくいものと考えられた.したがって、これらcytochrome p450の発現量が、予後を決定することを明らかにした.
|