研究課題/領域番号 |
17390215
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
金井 隆典 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (40245478)
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研究分担者 |
東 みゆき 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (90255654)
日比 紀文 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50129623)
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キーワード | 細菌 / 生体分子 / トランスレーショナルリサーチ / 免疫学 |
研究概要 |
炎症性腸疾患における腸内細菌の関与を追究する目的にてCD4+CD45RBhigh細胞を免疫不全マウス(Rag-1-/-マウス)へ移入する慢性大腸炎モデルを用いて追究した。 (1)本モデル炎症大腸局所には腸炎惹起性CD4+CD44highCD62L-IL-7Rhighメモリー細胞が存在し、再びSPF-Rag-1-/-マウスに移入すると約5-6週で大腸炎を発症したのに対して、無菌-Rag-1-/-マウスの場合は移入後大腸炎を発症しなかった。以上より、腸炎の慢性化には腸内細菌の存在が必要であると示唆された。 (2)(1)にて腸炎発症(-)の腸炎惹起性免疫メモリー細胞移入無菌-Rag-1-/-マウスには、脾臓、リンパ節、骨髄にCD4+CD44highCD62L-IL-7Rhighメモリー細胞が腸炎発症(+)の移入SPF-Rag-1-/-マウスに比し少数(20-35%)ながら存在していた。 (3)(1)にて腸炎発症(-)の腸炎惹起性免疫メモリー細胞移入無菌-Rag-1-/-マウスを再びSPF環境下へ移行すると約2-3週の短期間に再び類似の大腸炎を発症した。 以上の結果より、大腸炎慢性化には腸内細菌の存在が必須であるが、腸炎惹起性免疫メモリー細胞は腸内細菌以外の因子によっても生体に維持される機構の存在が示唆された。さらに、いかなる腸内細菌が大腸炎慢性化に関わり、いかなる腸内細菌が大腸炎抑制に関わるかを追究することにより今後の炎症性腸疾患の治療戦略において極めて重要と考えられた。
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