エピジェネティック診断法を便での検出に応用し、免疫学的便潜血反応の感度および特異度を向上させた大腸癌スクリーニング法の開発を行ってきた。進行大腸癌20例、対照として、内視鏡的に全く異常を認めない症例20例において検討を行った。癌症例は内視鏡診断および組織診断によって診断が確定しているものを対象とした。進行大腸癌の症例においては切除組織、対照部分としての非腫瘍部組織、便サンプルを準備が可能であった。各サンプルよりDNA抽出を行い問題なくメチル化の検討ができることを確認できた。また、それぞれのサンプルより抽出したDNAにbisulfite処理を行い、DNAメチル化の検出を行なうことが可能であった。メチル化DNAの検出方法としては、これまで主として使用してきたCOBRA法(Combined bisulfite restriction analysis法)に加えて、より定量性に重点をおいたMethylLight法での検出、さらに高精度に定量が可能なリアルタイムシーケンサーを用いたメチル化定量システムの確立を行った。メチル化を検出する対象遺伝子としては、すでに大腸癌において高頻度にメチル化している遺伝子として、SFRP1、SFRP2遺伝子のCpG領域、DFNA5遺伝子、AMEG1遺伝子、hMLH1遺伝子を当初検討遺伝子として用いた。これまでの検討でSFRP1遺伝子のメチル化は64.7に認められ、SFRP2遺伝子のメチル化は92.3%に認められている。さらに他の遺伝子を検討し、これまでの中間段階では感度75.4%、特異度98.4%の結果であった。さらに対象遺伝子を変えて検討を行っている。また、本システムでは陰性症例に大腸癌発症が含まれないようにするため、特異度よりも感度を優先するシステムを開発する予定である。
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