エピジェネティック診断法を便での検出に応用し、免疫学的便潜血反応の感度および特異度を向上させた大腸癌スクリーニング法の開発を行ってきた。進行大腸癌20例、対照として、内視鏡的に全く異常を認めない症例20例において検討を行った。癌症例は内視鏡診断および組織診断によって診断が確定しているものを対象とした。進行大腸癌の症例においては切除組織、対照部分としての非腫瘍部組織、便サンプルに加えて血清をサンプルとしてインフォームドコンセントを取得し使用した。各サンプルよりDNA抽出を行い問題なくメチル化の検討ができることを確認できた。また、それぞれのサンプルより抽出したDNAにbisulfite処理を行い、DNAメチル化の検出を行なうことが可能であった。メチル化DNAの検出方法としては、重点をおいたMethyLight法での検出を行った。メチル化を検出する対象遺伝子としては、いくつかの検討後にRASSFI、RASSF2、SFRP1、SFRP2、BNIP3、CHFRを用いた。結果として腫瘍サンプルのメチル化パターンは便サンプルのメチル化パターンときわめてよく一致した。内視鏡的に異常のない症例の便中からは異常を検出しなかった。進行癌検出の感度は100%で、特異度は90%であった。大腸ポリープを含めた検討を開始している。
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