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2005 年度 実績報告書

血管壁不安定化の分子機構の解明と治療戦略の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17390227
研究機関東京大学

研究代表者

佐田 政隆  東京大学, 医学部附属病院, 寄附講座教員 (80345214)

研究分担者 平田 恭信  東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (70167609)
石坂 信和  東京大学, 医学部附属病院, 助手 (20270879)
キーワード粥腫 / 動脈硬化 / プラーク / 急性冠症候群 / アンジオテンシン / 前駆細胞 / 外膜 / 血管新生
研究概要

動脈硬化の進展と破綻における血中前駆細胞の関与を検討した。
(1)高度動脈硬化病変が形成された31〜48週齢においてApoE欠損マウスにGFPマウスの骨髄を移植したところ、80〜83週齢において大動脈粥腫ならびに外膜にGFP陽性細胞が集積していた。これらの骨髄由来細胞の一部は平滑筋細胞もしくは内皮細胞のマーカーを発現していた
(2)末梢血単核球をPDGF-BBと塩基性FGF中で培養することで、αアクチン陽性細胞を分化させることができた。高脂血症、加齢によって平滑筋前駆細胞数は増加した。アンジオテンシンIIの持続注入によって血管前駆細胞数は増加し、病変進行は加速した。
(3)高齢ApoE欠損マウスに対する骨髄移植を行った。骨髄細胞が血管前駆細胞として血中に動員され平滑筋細胞もしくは内皮細胞へ分化し動脈硬化病変に取り込まれていた。骨髄由来前駆細胞は、MMP-9を高発現しコラーゲンの産生能が低下していた。血中前駆細胞は外膜の新生血管から粥種に進入していた。アンジオテンシンIIは外膜における血管新生、骨髄前駆細胞の動員を促進し、プラークの形成を促進した。逆にアンジオテンシン1型受容体欠損マウスにおいては、血中前駆細胞数が減少しており、病変形成が抑制されていた。野性型マウスからの骨髄移植によって、アンジオテンシン1型受容体欠損マウスの動脈硬化は促進された。アンジオテンシン受容体拮抗薬の投与によって、病変進展は抑制され、粥腫はより安定した性状を呈した。
以上より、高度に進行した血管病変の細胞ターンオーバーに血中前駆細胞が関与していると思われた。特に、Vasa Vasorumからの新生血管を介してプラーク内部へ到達した前駆細胞は動脈硬化巣構成細胞に分化し、粥腫の進展と不安定化に関与している。骨髄ならびに血管のレニンアンジオテンシン系がプラークの脆弱化を促進していると考えられた。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (7件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] The angiotensin II type 1 receptor blocker valsartan attenuates graft vasculopathy.2005

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto, T., Sata, M., ら
    • 雑誌名

      Basic Res Cardiol. 100巻1号

      ページ: 84-91

  • [雑誌論文] Human umbilical cord blood cells improve cardiac function after myocardial infarction.2005

    • 著者名/発表者名
      Hirata, Y., Sata, M., ら
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun. 327巻2号

      ページ: 609-614

  • [雑誌論文] Potent inhibitory effect of sirolimus on circulating vascular progenitor cells2005

    • 著者名/発表者名
      Fukuda, D., Sata, M., ら
    • 雑誌名

      Circulation 111巻7号

      ページ: 926-931

  • [雑誌論文] Age-associated Aortic Stenosis in ApoE-deficient Mice.2005

    • 著者名/発表者名
      Tanaka, K., Sata.M., ら
    • 雑誌名

      J Am Coll Cardiol 46巻1号

      ページ: 134-141

  • [雑誌論文] Comparison of various bone marrow fractions in the ability to participate in vascular remodeling after mechanical injury.2005

    • 著者名/発表者名
      Sahara, M., Sata, M.ら
    • 雑誌名

      Stem Cells 23巻7号

      ページ: 874-878

  • [雑誌論文] The role of circulating precursors in vascular repair and lesion formation.2005

    • 著者名/発表者名
      Sata, M., ら
    • 雑誌名

      J.Cell.Mol.Med. 9巻3号

      ページ: 557-568

  • [雑誌論文] Circulating Osteoblast-Lineage Cells.2005

    • 著者名/発表者名
      Sata, M., Tanaka, K., Nagai, R.
    • 雑誌名

      N.Engl.J.Med. 353巻7号

      ページ: 737-738

  • [図書] Cardiovascular Regeneration Therapies Using Tissue Engineering Approaches2005

    • 著者名/発表者名
      Sata, M, Nagai, R
    • 総ページ数
      117-127
    • 出版者
      Springer-Verlag, Tokyo

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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