研究課題
モノクロタリン(2%溶液・60mg/kg body、一回皮下注射)をSDラットに投与した肺高血圧症モデルを作成し、開胸、人工呼吸管理下にナノカプセル型人工赤血球による肺血管抵抗低下作用の循環動態に及ぼす影響の急性評価を昨年に引き続き行った。ナノカプセル型人工赤血球は大腿静脈より1ml/minで投与し、同時に大腿動脈より同じ割合で脱血した。この赤血球置換により心拍出量は16±2.0から22±2.1[ml/min]に上昇したが、平均動脈圧は58±2.6から60±2.9[mmHg]、平均肺動脈圧は49±2.3から50±3.2[mmg]と変化しなかった。体血管抵抗および肺血管抵抗は、それぞれ3.6±0.5から2.8±0.1および、2.9±0.4から2.0±0.2[mmg・min/ml]に低下した。ナノカプセル型人工赤血球による血液置換は体血管・肺血管抵抗を低下させるが、体循環からの静脈環流量を増加させ肺動脈圧を変化させなかった。大気による人工呼吸管理下で肺高血圧症モデルラットの大腿動脈に酸素センサを留置して動脈血酸素分圧を測定し、ナノカプセル型人工赤血球投与によって55から71[mmg]に上昇していることを確認した。今後の慢性投与における組織評価のため対照および肺高血圧症モデルラットについてカルシウム輸送体(NCX)やタンパク質キナーゼ(PKC)について検討した。肺高血圧症モデルラット右心室心筋は著明に肥大し、対照ラット心筋にてT管に強く発現しているNCXは肺高血圧症モデルラットでは細胞質に彌漫性に分布し、PKCは形質膜に移動していた。
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