研究課題
1.拡張型心筋症モデルに対するラパマイシンの効果これまでの我々は、ラパマイシンが圧負荷による心肥大を予防し、また圧負荷によって生じた心肥大を退縮させることを報告した。また、ラバマイシンは自己免疫性心筋炎モデルにおいて炎症を減少させ心不全を軽減した。ラバマイシンが心拡張を主体とする心不全においても心臓を小さくする働きがあるかを検討するため、心筋症ハムスターにラバマイシンを1ヶ月間投与した。ラバマイシンは心重量の増加を有意に抑制した。心臓カテーテル検査による血行動態の評価をおこなったところラバマイシンは心筋症ハムスターの心機能を改善していた。2.実験的自己免疫性心筋炎ラットに対するレスベラトロールの効果ラットの自己免疫性心筋炎による心不全モデルの心臓組織で、酵母、線虫、ショウジョウバエなどのモデル動物で長寿遺伝子であることが知られているSIRT1のmRNA量と蛋白量が増加していた。SIRT1増加の意義を検討するため、自己免疫性心筋炎ラットにSIRT1の活性化剤であるレスベラトロールを投与した。レスベラトロールは炎症を抑制、心筋障害を軽減し、心筋炎動物の心機能を改善した。心筋炎により抗酸化酵素(Mn-SOD, Cu/Zn-SOD)のmRNA量は増加したが、レスベラトロールは抗酸化酵素mRNAの増加を抑制した。レスベラトロールは心臓での酸化ストレスを軽減することにより心筋障害を軽減した可能性が示唆された。3.インスリン・シグナルの心臓老化における役割の検討心臓老化におけるインスリン・シグナルの役割を検討するため、3ヶ月齢および20ヶ月齢の野生型マウス(NTg)、活性型PI3K (constitutively active PI3K、caPI3K)トランスジェニックマウス、抑制型PI3K(dominant-negative PI3K、dnPI3K)トランスジェニックマウスの心臓組織を用いてmRNAマイクロ・アレー解析による遺伝子発現の網羅的解析を行った。3ヶ月齢のNTgと20ヶ月齢のNTgの間で遺伝子発現パターンに有意な差がみられ、そのパターンの変化はPI3Kトランスジェニックマウスにおいて修飾されていた。よってインスリン・シグナルが心臓の老化過程に影響を与えている可能性が示唆された。
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