研究課題
1.心臓老化におけるインスリン・シグナルの役割を検討した:加齢は心不全の大きな危険因子である。心臓老化におけるインスリン・シグナルの役割を検討した。若齢(3ケ月齢)および老齢(18-22ケ月年)の、野生型マウスおよび、心臓特異的にphosphoinositide-3-kinase (PI3K)を抑制したマウス(dnPI3Kマウス)の心機能を測定し、病理学的解析を行った。dnPI3Kマウスでは老化に伴う心機能低下が抑制されていた。また、老化による炎症性サイトカイン、線維化、酸化ストレスマーカーの増加がdnPI3Kマウス群では抑制された。マイクロアレイを使用した網羅的遺伝子発現解析により、野生型マウス群の老化により発現量が変化する遺伝子が同定され、それらの遺伝子発現は老化dnPI3Kマウス群において抑制された。インスリン・シグナル経路は心臓老化を制御する重要なシステムであり、その抑制により加齢に伴う心機能の低下を予防しうることが示唆された。2.心不全における解糖系の役割を検討した:心不全の発症と進展には心筋代謝の変化を伴う。心肥大期から解糖系を促進する薬剤を慢性投与し心機能と心筋代謝に与える影響を検討した。ダールラットに、6週齢から高食塩餌を投与すると、高血圧を発症し11週齢で心肥大をきたし17週齢から19週齢で心不全にて死亡する。Dichloroacetate (DCA)は、pyruvate dehydrogenaseを活性化し解糖系を促進する薬剤であるが、11週齢の心肥大期から、DCAを経口投与した。DCAは、心不全期のラットの血圧・左室重量に影響せず、エコー上の心機能を改善し、生存率を改善した。解糖系は心不全の発症において保護因子として働いている可能性が示唆された。
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ページ: Epub ahead of print
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